2013年に当社で駐車場増設工事をさせていただいたS様が、当社のリフォーム相談会にご来場下さいました。今回は、新築されてから一度も塗装されていないとのことで、塗装工事のご相談をいただきました。S様宅はT社(既に倒産)で新築され、外壁が珪藻土塗りとのことでした。後日、三重野と塗装部部長の篠田で現地調査にお伺いしたところ、至る所にひび割れが生じておりました。
珪藻土は、本来であれば下地にモルタルを塗り、仕上げに珪藻土を塗るというのが通常の施工方法です。しかし近年珪藻土の仕上げを行う場合、T社を含め殆どの業者はコストカットを理由に、左官の要らない塗り壁用のサイディングを張り、仕上げに珪藻土を塗るという工法が主流となっています。この場合、サイディングの目地を見えなくし、その目地の部分に亀裂を生じないようにする必要があります。しかし、この目地の亀裂防止の処理が正しく行われていないことが非常に多いのです。その為、目地部分に亀裂がはいり、弾力性がない珪藻土もひび割れてしまうことがよくあります。(OBSラジオ『住まいのお悩み相談室』でも、珪藻土についてお話しています。)
S様宅の場合、ひび割れの状態からサイディングの目地の処理が不適切であったと判断せざるを得ない状況でした。下地処理が正しく行われ、珪藻土にひび割れの心配がない住宅の場合は、上塗り用の珪藻土を塗ることが基本的な処置となります。しかし、今後も発生するであろうひび割れの対策として、現在の技術ではひび割れに追随する弾性塗料を塗布するのが有効な手段となっています。弾性塗料は、下地の目地にひびが生じても塗膜が伸びることで下地のひび割れを覆い、表面化しないという特徴があります。弾性塗料を使う場合、藻土の風合いを変えてしまう為本来使用したくはないのですが、住宅のメンテナンスのためには必要不可欠であることを十分なご説明をさせていただき、ご理解をいただきました。 |