当社が毎年出展している『おおいた人とみどり ふれあいいち』にT様がご来場下さいました。T様が所有されている5F建のマンションの外壁についてのご相談をいただきました。外壁のタイルが剥がれて落下してしまい、その対策としてサイディングを上張りするというのは効果があるのかといったご質問をいただきました。
サイディングは比熱が低い、目地が生じるといった建材としての致命的欠陥があることをご説明させていただきました。しかし、そもそもの原因を伺ううちに、サイディングを上張りするということでは問題の解決にはならない状況であることがわかりました。そこで、現地調査をさせていただくことになりました。
T様が所有されているマンションは築6年目とまだ新しく、県内のゼネコンM社が建てたものでした。築6年目では到底考えられないのですが、5F部分のタイルがかなりの量落下した為、全面に足場を組んで検査し、全体の状況を把握すると共に、その対応策を考えている最中でした。足場を組んで既に数ヶ月が経過しており、T様も大変不安に思われ、M社に対する信頼も薄れていた為、独自に対応策を考えておられたとのことでした。
タイル面が部分的に剥がれやすくなっているのであれば、部分補修の上タイル塗装という方法もあるのですが(コストが安い)、M社の点検結果を見る迄もなく全体的にタイルの落下が心配な状態でした。(M社の検査結果も同様でした。)
当然のことながら、早急に根本的な解決が必要でした。残っているタイルを剥ぎ取り、きちんと正しくタイルを張り直すのが一般的ですが、今回の経緯からT様はタイルそのものに不安をお持ちになり(本来タイルはきちんと正しく張ればそう簡単に落ちるものではないのですが…今回のように落下する事態となると、大変危険です)、タイル以外の方法で外装を考えてほしいとのご意向でした。そこで、意匠性もタイルに劣らず高級感も有り、又落下のリスクがない石調塗装を提案させていただきました。
今回T様とM社との保証問題に関しては当事者でない当社が関わることではないのですが、タイル工事のお粗末さ、その後の対応の長期化など、技術力、ゼネコンの最低限のモラルに大きな疑問を感じました。我々の工事にもそれなりの期間がかかり、お住まいの方やオーナーのT様の心労、ご不自由を考えると、大変お気の毒でした。もちろん経済的にも。
何度もお打ち合わせをさせていただき、建物の価値が下がらないような意匠性のある仕上がりを考えながら、提案させていただきました。又、防水工事も一般的なシート防水でしたが当社の考え方から見ると、かなり不完全なもので壁面の浸水の一因となっており、やり替えをお勧めしました。
今回のM社の対応は、ゼネコンの建築に対する姿勢に大変疑問を持つ現場でした。人間が関わる仕事で、ましてや多くの人員を動員するような大規模工事では、満点をとるのは非常に困難だとは思います。ただ出た結果において間違いを認め正すことは企業としても人としても当たり前のことです。年に数回こういった残念な現場にあたることがあります。大手企業が当たり前の仕事すら出来ていない現場です。
リフォーム業界でよく、訪問販売会社の弊害が話題になりますが、大手ハウスメーカー・地方の大手建設会社・ゼネコンのモラル低下、工事力の低下などが、質の悪い訪問販売会社が生まれやすい土壌を作っている大きな要因であると思います。 |