当社ショールームにO様からご連絡をいただきました。O様のお宅付近で当社が工事をしていた為、たびたびご覧になっていたそうです。またご主人は前々から当社の事をご存知だったそうです。
早速、プランナーの野上がご自宅に伺い、現地調査いたしました。
O様のお宅はK社(現:S社)で建てられた築21年の建物で、屋根は石綿スレート瓦、外壁はサイディング貼りの造りでした。
2年前オール電化にした際に、屋根へ上がった職人さんたちに屋根の塗装をしてもらったそうで、今回の依頼は外壁の塗装のみとの事でした。しかし、屋根は適切な塗料が塗られていなかったために、塗装された形跡がすでに残っていませんでした。
また、外壁のひび割れが気になっているとの事でしたので、外壁も確認してみると、経年劣化によるひび割れや目地の劣化の他にチョーキング現象も見られました。
サイディング壁のひび割れ |
サイディングは比熱が低いので、昼と夜の寒暖差で壁の内部の空気が急激に温まったり冷えたりを繰り返します。その結果、壁の内部に結露が生じ、断熱材や建材が傷み、サイディングの「反り」や「ひび割れ」に繋がってしまうのです。南側は特に早く劣化が進んでいましたが、それは、日照により南面の温度変化が最も大きいからです。
また、O様宅の場合、劣化により反ろうとするサイディングを固定していた金属アングルもサイディングの割れの原因となっていました。 |
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お見積もり説明の際には、そういった原因の説明と対策を細かくお伝えしました。その後、工事のご発注をいただき、着工となりました。
O様は以前から訪問販売の営業にお困りだったそうです。今回当社にお見積もり依頼をいただく前に、他社さんにいくつか相見積もりを取られていましたが、いくつかのパターンの中からお客様が塗料を選択する形式の見積もりや、建材や塗料の知識がないがために、正しい塗料選択ができていない見積もりを持ってきた業者が大半でした。(OBSラジオ『住まいのお悩み相談室』でも取り上げています。)
本来は、わずか数年で塗装が必要になるような家を建てて売ってしまう日本のハウスメーカーの在り方に根本的な問題があるのですが、事前にお客様に「将来、塗装が必要になります。」と一言お伝えしていないのも大きな問題だと思います。
普段、たくさんのお客様とお話をさせていただくのですが、新築を建てたばかりの方が、『担当の営業マンに「外壁はセラミックだから将来塗装がいらないです」と言われて安心しました。』とお話されていました。
業者側に建材についての正しい知識がないために、「劣化によって塗装が必要になる」という当たり前の考えに至らないのかもしれません。建材に限らず、物質は劣化するのが当たり前です。特に屋根や外壁は室内と違って風雨や日光に常時晒されるため、劣化していきます。そのため、劣化を少しでも遅らせたり、劣化の原因から少しでも守るべく正しい塗装が必要不可欠となってきます。『塗装いらず、メンテナンスが永久に要らない』などという甘い謳い文句にだまされないように消費者の方には注意してほしいと思います。
私たちが生涯過ごしていくお家を守るという大事な役割をもつ『屋根』『外壁』に少しでも興味や関心を持っていただけたらと思い、当社では定期的に勉強会も開催しています。まずは、消費者の方が「建築については素人だからプロに任せよう」と思わずにご自身のお家に関心をもつ事、そして正しい知識をもつ事が、大事な財産であるお家を守る事に繋がると考えているからです。
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