当社で工事をされた方からのご紹介で、N様より塗装工事のご相談をいただきました。ご自宅は40年以上前に地元の工務店で建てられて、これまでに何度か増築を重ねてきた2階建ての建物でした。屋根は石綿スレート、外壁はモルタルにボンタイル吹付やリシン吹付が施工されておりました。
現地調査に伺った際に屋根の勾配が小さいことが気になり、天井裏を確認すると、屋根裏に雨漏りの跡がありました。
塗装工事は建材を雨水や紫外線から保護し、建物の寿命を延ばすことが目的ですが、雨漏りの原因がわからないまま塗装しても、雨漏りを根本的に止めることはできません。雨漏りは、その原因によって対処の仕方が変わってきます。
雨漏りは、屋根の勾配が小さい事による可能性が高いのですが、建物の構造体を変えることは現実的ではないことをお伝えしました。
※スレート屋根は、勾配が小さくても葺けるという誤った認識で普及しており、屋根勾配が小さいのが特徴となっています。屋根勾配が小さいことで雨の滞留時間が長くなり、またスレート同士の重なりから起こる毛管現象の作用のため、屋根裏に雨水が入り込みやすく、雨漏りのお悩みの多い屋根材となっています。
この他にも、
●外壁から出ているエアコンホースの周りが処置されておらず穴が開いていた点
●2階のベランダに後付けされたサンルームが水はけを悪くさせ、サンルーム下で水が乾かない状況が作られていた点
●繰り返された増築により建物と建物の取り合いに生じる隙間
以上の可能性をお伝えし、お打ち合わせを進めていきました。限られた選択肢での提案でしたが、工事のご契約をいただき、着工となりました。 |