2016年4月の熊本・大分地震の数日後、M様から住宅の外壁にヒビが入っているのでどのような工事が必要か見てほしいとご相談をいただきました。M様の娘様に北斗に見積もってもらうよう勧められたとの事でした。娘様もちょうど当社で地震災害による境界ブロック補修工事をお見積もり中で、のちに工事させていただく事となりました。
早速、M様のお宅へ現地調査にお伺いしました。地震によって確かに大きなヒビ(クラック)が生じていました。また、家の裏手は外壁のモルタルが浮いていました。モルタルが浮いている外壁については、一度剥がして、モルタルを塗り直す部分補修をし、ヒビについては充填剤(樹脂モルタル)を下処理で充填し、その後塗装をするというご提案を致しました。
ヒビが数箇所であったり足場が不要な補修程度で済むものであれば、ヒビの補修だけで充分ですが、M様邸は範囲が家全体に及んでおり、また2階にも生じていた為、補修であっても足場が必要でした。その為、費用対効果を考え、外壁の浮きの補修、ヒビの補修及び仕上げとして、外壁全体を保護する目的で外壁塗装工事のご提案を致しました。
防水・弾性の機能のあるモルタル用塗料を塗装することで、今後生じる可能性のあるヒビの表面化を防止し、また防水性を高め、浸水のリスクを減らすことが出来、家屋をより長く持たせることが出来るということをご説明いたしました。
また、費用対効果の面で、屋根の塗装もご提案しました。屋根は今回の地震で大きく損傷していることはありませんでした。しかし、数年前に屋根の塗装を他社でされていましたが、その時の塗装が充分な出来ではなく、塗膜が劣化していた為、足場を掛けるこのタイミングで同時に施工することをご提案させていただきました。
お話をしていく内、実は当社に見積もり依頼をする前に、既にN社で外壁塗装の契約をしているという事をお話し下さいました。その金額が高いのではないか?と娘様が心配されて、当社に相談するようにご両親に勧められたとの事でした。どのようないきさつで契約をされたかを聞くと、地震の翌日の夜にN社の営業が来られて、その場で当初200万で見積もって、最終的に120万に値下げして契約させたとの事でした。後になり、夜暗い中での現地調査であった事や、金額が大幅に下がった事など、多少不安に思われた事があったとお話し下さいました。
契約のやり方、見積もり金額、工事内容が出鱈目であることをご説明し、クーリングオフがきく内容であり、また法的に保障されている期間であることが分かったので、即日クーリングオフ(契約取り消し)をするようにアドバイスさせていただきました。当社の説明にご納得して、M様はさっそく電話にてクーリングオフをされました。
ちなみに、N社はこういった事には慣れており、問題や諍いになると自社の方が立場が悪くなる事が分かっているからだと思われますが、電話でクーリングオフを伝えたら、「分かりました」の一言で済んだとの事でした。
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お見積もり説明には別の娘様が同席して下さり(M様ご夫婦がご高齢の為)ご説明させていただきました。
当初契約していたN社とは、工事内容が全く違う事と、金額もN社で契約した外壁塗装の金額で当社は屋根・外壁両方入っているという事もご説明させていただきました。工事内容に充分ご納得下さり、娘様にも確認していただき、ご契約下さいました。
今回のケースは地震の直後に出没する訪問販売の典型的なケースといえます。このたびの熊本・大分地震で住宅が被害に遭われ、地震直後は不安感から契約を即決してしまったが、一旦落ち着かれてから金額や工事内容に不安を感じ、ご本人様やご家族の方から、ご相談をいただくというケースが大変多くなっています。ご相談いただいたケースの大半が、必要でない工事、または妥当でない工事であり、クーリングオフのお手伝いやアドバイスを多数させていただきました。
M様のお宅にも、地震の翌日にN社は訪問しており、ご近所は軒並み即日契約をしていました。訪問販売系の会社は、会社の実体がない事が多く、また実体のある会社でも会社のシステムや工事が間違いだらけの出鱈目という事が大変多いので注意が必要です。また、見積もり書にはどんな塗料を使用するのかも書かれていないことがほとんどで、契約に来ている営業社員がどんな塗料を使用しどのような施工をするかを全く理解せずに見積もり、契約をしているという実態です。災害に便乗して、このようないいかげんな業者が、被害に遭われた方の恐怖心を利用して、いい加減な工事の契約を取るというケースは昔からあり、今だに横行しており、当社では様々な形で警鐘を鳴らしています。OBSラジオで放送中の『住まいのお悩み相談室』(毎週木曜12:30〜12:40放送中)でも、お話しさせていただきました。
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