モルタル壁の仕上げは、H様のお宅でも使用されていたように、一般的にはリシンやスキン、またはアクリル吹き付けの3つがほとんどです。更に塗り替え時に使用されるのはトップコートの類が大半です。その理由が、“モルタル壁に適しているから”であれば納得がゆきます。しかし現状は、これらの塗料が「安いから」、または「一般的に使用されているから良いのだろう。」といった、業者側の都合、無知によるものです。
せっかく建てた新築ですが、十数年後に安くはない金額で塗装をしなければならないと考えている・知っている方は少ないのが現状です。更に言うならば、建てた施工店が10年先のことを全く考えていない、またはどうなるのか知らないということが多く見受けられるのがこの業界です。本来ならば、プロである施工店がしっかりと今後数十年のことまで考え、新築を計画・施工してゆくのが当然なのですが、コストダウンを求められ、なおかつ利益率アップを求められる社会では、業者任せにすることは危険なのかもしれません。お客様が主体となって比較・検討をする必要があります。
幸いH様のお宅は建てた大工さんが大変立派な仕事をされており、更に使用している木材、建材も一般ではなかなか使えない上質な物をふんだんに使っておりました。瓦もこの時代はセメントの焼き付けも良い物と認識されておりました。この仕事をしていて、立派な仕事をされている住宅に出会う事の方が少ないという現状に、業界の抱える問題の根深さを感じてしまいます。 |