当社の保証は10年保証です。一般的にも10年保証をする業者が多いかと思います。
保証書を出してほしいというお客様にはお出ししていますが、基本的には保証書があろうがなかろうが、当社で工事をした場合は年数がたとえ10年過ぎていてもアフターサービスをおこなっています。当然の事ながら当社の施工に問題がない場合でも、出来る範囲であれば可能な限りアフターサービスとしておこなっています。
当社が施工した箇所に何か不具合が起きた場合、当社に非がないからやらないとか、10年過ぎてるからやりません、なんてことは言いません。ただ、その際にあまりにも費用がかかるとか、工事に問題があったのではないかという時の為に、保険というものがあります。
住宅に対する保険には大きく分けて、業者側がかけるべき保険と、消費者側がかけておくべき保険があります。今日は、業者側がかけるべき保険についてお話ししていきたいと思います。
工事後の保証で、一般的な業者の場合ですと、いくら保証書をその業者が出していても、効力にとぼしくいわゆるカラ手形となってしまっているということが多々あります。とんでもない業者、どこに事業所があるのかわからないような実態のない業者が、10年保証などを平気で出している。そのような会社が2〜3年後には倒産して無くなっているというのはよくある話です。そういった業者は業者側がかけておくべき保険に加入していないどころか、そのような保険の存在すら知らないということも珍しくありません。「うちは10年保証ですよ。」と言われたからといって決して安心というわけではないということを、注意しておいてほしいと思います。
≪業者の加入する保険≫
我々業者の側が加入しておくべき保険。もちろん社内での労災保険は当たり前なんですけれど、工事中にかける保険で「請負業者賠償責任保険」と言う保険があります。(「事業活動総合保険」というものに賠償責任保険がついている場合など、名称が違うこともあります。)この保険、当然のことながら当社は加入しています。加入していない業者は要注意です。
これはどういった保険かというと、請負業務に起因する対人・対物事故による賠償責任を補償します。(偶然の事故による損害ですから業者の故意の場合はもちろんダメです。)そういった時に業者は物(建物や車)の持ち主や人に対して補償しなくてはならないわけですが、その際に保険が適用されて保険金で補償の費用がまかなえます。仮に業者に補償の資金力が無くても保険屋さんが代わって補償してくれるというわけです。
これは工事中の工事物に対する保険です。災害でもなく、業者が工事でちょっとしたミスをしてしまったという場合。そういった場合のいわゆる雨漏りとかその他の被害ですね。塗装工事で例えると、高圧洗浄している時に窓から中に水が吹き込んでしまい、それで屋内の絨緞を汚したとか。またはあってはならない事ですが、工事中の建築資材が落下して通行人にケガをさせてしまった場合などですね。これは当然請負業者賠償責任保険で支払われるわけです。
そして工事が終わった後の保険ですが、これは「製造者責任保険」いわゆるPL保険(生産物賠償責任保険)というのがあります。これも先ほどの保険と同じように「事業活動総合保険」という保険でカバーできる場合があります。
災害でなく業者側に非があって、引き渡し後の建物になにか不具合が生じた時のための保険です。
よく新築住宅で、10年保証とか5年保証などと言っている業者がありますが、では補償する財源がその業者にあるのかということですね。補償する財源がありもせず、業者が入るべき保険にも入っていない場合、またどうかすると業者が工事後に倒産していた場合、ともすれば消費者の泣き寝入りになりかねないわけです。
新築住宅の場合は「日本住宅保証検査機構(JIO)」という保険があります。当社も加盟しておりますけれども、これは業者さんが倒産などで無くなった場合に、同じ地域の他の加盟店が、無くなってしまった新築の業者さんの瑕疵に対する補償の工事を代わりに請け負うというものです。その際、費用に関しては日本住宅保障検査機構からその施工費がおりるという保険です。
大型リフォームの場合では「リフォーム瑕疵保険」というのがありまして、同じ地域に加盟している業者があれば入ることが出来ます。新築の時や大型リフォームの時は、それぞれそういった保険があります。
例えば新築したあと、新築業者がつぶれてしまった。あとになって、建物に瑕疵が見つかった。新築業者が存在していれば当然その会社が補償するべき内容だった場合に、「同じ地域で加盟している北斗さんに、お願いします」ということで日本住宅保証検査機構から依頼がきます。当社もたびたび日本住宅保証検査機構から依頼を受けています。
(ただ、このJIOには欠陥もあります。世間では認知され流通しているが、当社からするとそもそも建築工法からして欠陥である住宅が増えている昨今、その工法での住宅の状態を、もとに戻したとしてもまた同じ状態になることは目に見えています。その為、当社としてはJIOからの依頼を引き受けたくないケースも増えてきているのです。たとえば軒のない住宅や、雨漏りするに決まっている工法で建てられた住宅などの場合です。新築業者が間違い工事をしていた場合、同じように戻すリフォームでは限界がある場合が多い。たとえベストを尽くした工事をしても、工事後の保証ができないような住宅です。そういう住宅が増えているのです。)
ご自宅のリフォームなり新築を依頼する業者が「請負業者賠償責任保険」、「製造者責任保険」に加入しているかを確認しておくことが重要です。そしてお客様自らはどのようなプランの火災保険(災害特約)に加入しているかをチェックしていただけるとありがたいです。
飯倉アナ:工事を依頼する業者がきちんとそういった保険に加入しているのか、契約する前に確認しておくというのは大切なんですね。
そうですね。今回は工事の保証についてのご質問をいただきましたが、意外とこの質問は少ないんですよ。そもそもそういった保険の存在を知らないお客様が多いので、質問のしようがないのですね。
この番組はQ&Aということで、ご質問いただいたことにお答えする形をとっていますが、知らないことは質問のしようがない。しかし、そういった広く認知されていない事柄にも、大変重要で皆さんに知っておいていただきたいことは結構あります。ですから、質問をいただかなくても、これはお伝えしたい、という内容があれば、今後もこの番組の場をお借りして、色々とお話ししていくことが、私の役目かなと、思っています。
≪消費者がかける火災保険≫
業者側が加入しておくべき保険について、これまでお話ししてきました。業者側が加入しておくべき保険と、お客様の側が加入しておくべき保険については、以前の放送でもお話ししたことがありますが、近年、地震・豪雨・台風などの災害が身近に大変多くなってきていますので、また改めて詳しくお話ししておきたいと思います。
お客様とお話しする時、特に雨漏りのご相談や補修の時には必ず「火災保険はどのようなプランに加入していますか」と確認させていただいています。まるで保険の勧誘員みたいと思われるかもしれませんが、弊社が保険を扱っているわけではありません。この火災保険自体は、住宅ローンを組むときに、融資する銀行の方で加入を義務づけていることが多いので、ほとんどの方が加入していると思います。火災保険というと、火事により焼失した家財・建物への補償が主です。火事による保険の適用は、これは一生のうちに一度も使わないほうがよいでしょう。しかし、災害となると、使う頻度は火事よりはずっと多くなります。
実はこの火災保険の災害特約が、火事でない場合でも、住宅の修繕に対して結構使えるんですね。ですから契約されている火災保険の補償内容を調べて下さいとお願いしています。災害特約でどのようなプランが付いているかが保険会社やお客様の選んだ保険商品によって違うのです。台風や豪雨による床下浸水や床上浸水などの際、水災のプランがついていれば、補償が適用されますし、台風で瓦が飛ぶとか何か破損した場合に風災の適用があったりと、保険会社によってプランがさまざまあります。
飯倉アナ:入っている方も今一度見直す必要があると。
そうですね。火災保険には加入しているけど、どのような災害特約をつけているかわからない、または災害特約をつけていないという方が意外といらっしゃいます。災害特約をつけている人はちょっと得なんですね。家が燃えるよりも、自然災害で保険が下りることの方が頻度が高いです。
ただ、住宅の損壊が経年劣化によるものか、例えばいついつの大雨によるものですとか。どの災害が原因であることを特定できるという事が必要です。
災害特約に認定されるかどうかは保険屋さんの現地調査で決まりますが、業者判断も認定の材料になります。災害によるものと認定されるかどうかは、保険会社の考え方や裁量にもよりますが、大体が認定されると思っていて良いです。今まで僕のお客様では、ほとんどの方に保険が適用されています。
例えば、台風で吹き込みがあったというケースがあります。これはもともと建築業者の建て方にそんなに問題があるというわけでもない、そして経年劣化によるものでもないと思われる状況でした。災害によって雨漏りがあったと推測されると判断されました。そういったものの補修に関しては、中も外もお金が下りることが多いです。
もちろん保険の商品によって、また保険屋さんの窓口の対応によっても若干差があったりもします。しかし、もし保険屋さんの対応が良くないとか、ちょっと疑問がある場合は僕らに聞いていただければ、代わりにお話しをすることもできます。とんでもない大きな金額、何百万とか何千万に近いような金額が、災害特約でおりたケースもありますので、これは知っておくと得です。
災害は年々身近になっている気がいたします。雨漏りがテーマの放送でもお話ししましたが、我が国の雨の降り方が近年、劇的に変わってきています。それなのに、住宅の雨仕舞が、大変疎かにされてきています。
●災害自体が増えていること。●災害に弱い住宅、いえ災害どころか通常の雨にさえ弱い住宅が増えていること。この2つのことから台風や集中豪雨などで被害をうける住宅は、今後も増えていくことと予想されます。普段からの備えとして、保険についても平素から確認されておくことをおすすめします。 |