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有限会社 北斗建装

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リフォームQ&A

OBSラジオ『住まいのお悩み相談室』Vol.13
毎週木曜 12:20〜12:30放送

 以前から窓の結露がひどく、クロスにはカビが生えてしまい、冬は窓の近くがとても寒くて困っていました。断熱効果と結露防止に効果を期待して、窓ガラスをペアガラスに変えました。すきま風や、窓そのものへの結露は解消されましたが、サッシ周りには相変わらず結露があります。どうしたら結露しなくなるのでしょうか?
(リスナーからのご質問 5/28
放送)

クロスを剥がすと…

▲結露の酷いお宅のクロスを剥がした所。内部結露で壁体が劣化している状態であった。

 まず、結露がなぜ起こるかですが、温度が高い空気は水蒸気を多く含むことが出来ますが、冷たい空気は水蒸気を少ししか含むことが出来ません。
1m³の空気に含まれる水蒸気の最大量を「飽和水蒸気量」と言いますが、飽和水蒸気量は気温によって異なり、温度が10℃高くなる毎に、約2倍になります。温度が上がれば上がるほど、空気中に含むことのできる水蒸気が増えていきます。逆に、温められた空気が冷やされると、空気中に水蒸気を含みきれなくなり、水蒸気が水滴に戻るのです。これがいわゆる結露の原理です。もしかしたら中高生の方がよく覚えているかも知れませんね。

★久長アナ「たしかに、理科で習った記憶がありますね」
 
 住宅の場合は、同じ室内でも窓際と部屋の中央では室温が違います。昔の住宅はあまり結露しませんでしたが、それは通気性があり、すきま風も吹いており、外気との激しい温度差が生じるほど室内が温まりにくかったという事があげられます。しかし最近の住宅は気密性が高くなり、その分、室内の暖気や湿気は外に出にくくなりました。暖房や冷房の効きがよくなった反面、室内と室外、暖房室と非暖房室、部屋の中央と窓際などで、温度差が生じやすくなっています。これが結露の大きな原因と考えられます。
 カナダのログハウスなどは外は寒く室内の温度は結構高いのですが、結露にさほど悩まされていません。これは住居がほとんど木で出来ているため、湿気を吸ったり吐いたりしてくれるので、湿気が多くても比較的あまり気にならないという事が考えられます。という事は木のような調湿性のある材料を使って住宅を建てれば、温度差があってもある程度湿気を吸収してくれるということになります。
 しかし現在の日本の一般的な仕様の建物は普通に暮らしていても結露はするものと考えたほうがよいでしょう。日本の一般的な住宅の多くは、内装はビニールクロス、壁はサイディングというように、調湿性のない材料ばかりを使って建てられています。
 室内のクロスを例にすると、ビニールクロスなどはサウナスーツを着て汗をかいている状態と同じです。サウナスーツで運動をすると、かいた汗(水蒸気)が外気温に近づいたところで、水滴に戻り、サウナスーツの内側はびっしょりになります。これが綿の服なら湿り気を帯びるけどサウナスーツほどびっしょりにはなりません。それと同様に、住宅でもできるだけ結露を起こしにくい建材、結露が生じてもそれがマイナスにならない建材を選ぶことが重要となってくると考えています。
 しかしだからといって、いま既に建てられている住宅の材料を、全て自然素材にリフォームするというのは大変です。そこで、割と経済的な対処としては、部分的に自然素材を利用するという方法です。例えば、室内の内装には珪藻土入りのクロス、和室であれば和紙クロスなど、比較的「調湿性」のある内装材にリフォームするという方法が有効です。普通のクロスよりは若干高めですが、それだけでも随分改善されるはずです。
 更にいえばもう少し費用は高くなりますが、クロスの張替えではなく、本物の漆喰(しっくい)や珪藻土を塗ると、更に調湿効果を期待できるかと思います。ビニールクロスの上に塗る事ができるものもありますので、現状がビニールクロスのお宅ではかなり効果を実感できるでしょう。
 私(小原)の家では、和室には土佐和紙のクロスを使用しています。トレーニングルーム(今ほとんど洗濯物干し場にされてますが笑)はコットンのクロスです。そして寝室には麻のクロスを使用しています。この麻のクロスは、一見普通のクロスに見えますが、よく見たら麻だとかわかります。ただ、ビニールクロスに比べると耐久性が良くないという面があります。小さなお子さんがいて落書きする、犬や猫がかじったり爪をとぐなどが頻繁に起こりうるお宅には向いていないかもしれません。そういった心配がないのであれば、ぜひお勧めしたい材料と言えます。

 さて、今までお話したのは、表面結露と呼ばれ、窓ガラス面や、暖房していない部屋の壁など、他の場所より冷たい場所に温かく湿った空気が移動し表面に水滴となって現れる結露です。このような結露は、発生箇所によっては、放っておくと内装材のはがれやカビ・ダニの発生などの原因になります。
 しかし、本当に気を付けなければならないのは、目に見えないところで長期的に起こる結露です。壁の内部や天井裏、小屋裏、床下など目に見えない部分で発生するもので、内部結露と呼ばれます。 壁体内部では、湿った空気が壁の中に侵入し、温度が冷えて断熱材の中で結露が発生した結果、グラスウールなどの断熱材が水を吸って重みで壁内で半分ほどの高さまで落ちてしまい、断熱効果が無くなる事もあります。また、内部結露で壁体内部が常に湿った状態になりカビが発生して、居住空間の空気環境を汚す原因になったりなど様々な弊害を起こす事があります。

 見えない箇所で発生する内部結露は、表面結露よりも気付きにくく、常態化すると、構造材の腐食や白アリなど、深刻な二次被害を引き起こしかねません。 このように内部結露は住宅の主要構造部を腐らせてしまうこともあるので注意が必要です。
 また、最近の住宅の基礎はコンクリートを全部張ってしまうベタ基礎が主流になっています。耐震的には強度がありますから、ベタ基礎が良いという認識ですが、地面をすっかり隠してしまうので土の調湿作用が働きません。基礎がベタ基礎になったこと、住宅の気密性が上がったこと、冷暖房の性能が上がったこと、構造材・内装材・外装材すべての建材で調湿性のない建材が増えたことなど、結露を助長させる要因ばかりが増えています。意外と言われていない事ですが、結露による白蟻、構造体の腐食などが、今の家の耐久性を短くしている大きな要因のひとつではないかと思っています。
 質問者様のお悩みのように、表面結露で困っておられる住宅では、内部結露が常態化している可能性も十分考えられます。これは個別に状態を見て、なるべく費用対効果の高い、すなわちお金が一番かからなくて効果のある方法というのを探していく事が大事ではないかと考えています。

★久長アナ「内部結露となると、我々の目に触れにくい部分ですので、ちょっと恐怖もありますね。」

 
そうですね。おっしゃる通り、見えない部分ですから、知らない間に進行してしまうのが怖いところです。目に見える表面結露が多いというのは、目に見えない内部結露が生じているのではないかというサインでもありますので、注意が必要かと思います。
 また、何が何でも自然素材という感じで、自然素材をキャッチフレーズにしている会社が近年増えています。しかし、なぜ自然素材を使うかという肝心のところがしっかりしていないと意味がないですよね。以前の放送でもお話ししましたが、何故自然素材を使うか、自然素材の良さって何なのかという事を考えた時に、もちろん化学物質を含まないということも大事なのですが、「調湿作用があること」ということ。これに尽きるといっても過言ではありません。自然素材の良さは、住む人間に心地よい住環境を提供してくれるだけでなく、住宅そのものを守ってくれる。また、そういう自然素材の持つ利点をしっかり引き出せる使い方をするというのが、大変重要になってきます。

★久長アナ「なるほど。今回、お悩みのご相談をいただいた方は、どのような形態の結露をされているかというところを、まず突き止めることが大事かもしれませんね。その上で、費用対効果の高い対策を考えていくということですね。」

 そうですね。サッシ廻りの結露にお悩みとの事でしたが、サッシ廻りなどは、多少結露するのは仕方ないと思います。窓をペアガラスにすると、中に空気層ができますから、ガラス自体の温度は変わりにくくなります。窓のそばにいくとひんやりする、窓からの冷気を感じる、といったお悩みなどはある程度解消されるでしょう。
 しかしサッシ廻りは、そのまま熱伝導してしまいます。それを防ぐことはできませんので、結露がガラス面でなくサッシ廻りで生じてしまいます。また、人いきれや煮炊きによる水蒸気の発生量などは変わらないので、結局のところ、その出た水蒸気を、内装材でどれだけ吸ってもらうかということが、室内の表面結露を防ぐ唯一の方法となります。少しでも多くそういう効果の高い材料を使えば、結露が比較的少なくなるかと思います。
 結露は、人間が屋内で日常生活を営む以上、決して無くなる事はありません。しかし、工夫次第で「気にならない程度」にはする事ができるものだという風に考えて、対策を講じるとよいのではと思います。

★久長アナ「はい。ぜひ参考になさってみてください。」

⇒⇒次の Vol.14『RC住宅で亀裂から雨水の浸入、鉄筋の錆に困っている』を読む


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