K様が、当社大分本店(にじが丘ショールーム)にお越し下さいました。ご両親がお住まいになっているご実家のご相談をいただきました。
ご両親のお宅に業者が来て(おそらく訪問販売業者)「お宅の家は耐震性に不安があるので、屋根を葺き替えて軽くした方が良いですよ」と、セメント瓦をスレート瓦に葺き替える工事を勧められたそうです。
そこで心配になり市役所にも耐震の相談をされた所、市役所の職員が数名ご自宅の調査に来られ、屋根の葺き替えを勧めたそうです。(これは私個人(小原)の感想としては、ご本人が葺き替えをしたいと言われているので、敢えて否定しなかったという程度ではないかと思っています。)
K様のお話では、必要であればすぐやりたいので、当社で調査して見積もってほしいとの事でした。葺き替えが必要かどうかは現地調査をしなければ判断できないので、早速小原(当社代表)とプランナーの東本の2名でご両親のお宅に伺いました。
ご両親のお宅は写真の通り平屋建てのどっしりとした造りで、南面の開口もほどほどで、基礎にも構造体にもどこにもひずみらしい箇所は見当たらず、精密な調査をする気になれない程しっかりとした建物でした。その旨をご両親にお話いたしましたが、どうしても不安が拭えず屋根の葺き替えがしたいらしいご様子でした。
当社としては、耐震以外の理由で屋根の葺き替えをされたいのであれば、喜んでお受けするのですが、このケースで耐震性を上げる為に葺き替えるという事は後々当社の信用に関わる事なので、できない旨をお伝えしました。その理由として、第一に家が現状で充分しっかりしている事、またそれ以上の理由として屋根を軽量にする為セメント瓦をスレート瓦に替える事は、思っている程屋根が軽くならないという事実があります。スレート瓦、ルーフィング、その下の野地板を加えた重さは瓦屋根より若干は軽くなりますが、一般の方が思っている程の差はないのです。その旨をご両親にお話いたしました。
もちろん、当社では毎年30〜40軒ほどの住宅の屋根の葺き替えを施工しておりますが、一番多い理由は屋根材の下地材(野地板)が傷んで取り替えなければならない場合(その場合屋根材も一緒に替えるのが合理的)です。この場合は、雨漏りしている場合が大半です。
耐震性能を上げる為の軽量化という場合もまれにありますが、K様のご両親のお宅はこれに該当しませんでした。こういった話をK様にもお伝えしました所、我々以上に理系のK様は、業界人以上にご理解下さいました。
その後、葺き替え費用が浮いた為という事で、屋根・外壁の全面塗装のご依頼をいただきました。
「耐震」という言葉は震災以降、心ない業者によっていたずらに不安を煽り必要の無い耐震工事を契約させる為に悪用されてしまっています。建物にとって何が本当に必要かを、真面目に考える業者が増えてくる事を願います。
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