皆さんが、新築やリフォームを考える際、費用以外で何を重視するでしょうか。昨今、多様化した建材や工法が氾濫している時代で、最適といえる建材の組み合わせや工法の選択は専門家でも難しくその長所や短所をきちんとお客様に伝えられる業者は、ほとんどいないのが現状です。
氾濫している建材や工法の中には、中学校レベルの理科の知識で考えても明らかに矛盾している商品、自然の摂理に反している商品が多くあります。それが現在の建築業界の姿です。例えば、断熱効果を謳った金属パネルを既存の外壁に貼り付け覆うことで屋内の断熱効果が上がると宣伝している商品があります。
これは決して専門的な知識ではない“比熱”の原理を考えれば、自然の摂理に反していることが、誰にでもわかることです。
比熱とは、物質の温度を上げる時の熱量のことをいいますが、比熱の大きいものは熱しにくく冷めにくい性質をもち、水がこれにあたります。地球に生命が棲めるのも、地球の7割が水に覆われているからであり、太陽光が当たっている間、温度が急激に上がるのを防いでくれています。そして、夜間太陽光が当たっていない間に、温度が急激に下がるのを防いでくれるので、水辺は生物が繁栄しやすい環境であるといえます。逆に水の少ない砂漠は、昼の温度が高く、夜の温度は大変低く、生物にとって過酷な環境であるわけです。住宅に置きかえると、水分を多く含む木材や塗り壁には、調湿作用があり室内の温度の上がり下がりが急激に行われることを防ぐ役目を果たしてくれています。
前述の金属パネルで壁を覆うということは、熱しやすく冷めやすい物質を外壁の外側に貼りつけるということで、壁との間に空気層があれば、熱して冷めた途端に結露することは容易に想像できます。(日中暖められた金属パネルは既存外壁との間の空気を暖め、夜間にはあっという間に冷えるので、結露をおこす。結露がカビを発生させてシックハウス症候群の原因となることは、周知の事実でしょう。)
こういった、当たり前のことを、きちんと考えて検証するという事が、非常におろそかにされて、経済性や施工の効率などばかりが優先されてきたのが建築業界であり、また顕著であるのがリフォーム業界であると私は感じています。
当社が、一番大事にしていることが、「当たり前のことを、きちんとする」という事です。その為には、「業界にとっての当たり前」も疑ってみること、検証することがとても大切なことです。
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